少女漫画を語る本 第4弾

5/10(日曜)の「第8回文学フリマ」に出る、少女漫画を語る本 第4弾(F-29「close/cross」)にわたくし紫呉屋も参加しております。
以下詳細です。


少女漫画を語る本「Girls' Comic At Our Best! vol.04」
★特集:麻生みこと『天然素材でいこう。』
白泉社LaLaDX」誌で1995〜2002年まで連載された、麻生みことの代表作『天然素材でいこう。』を取り上げます。
・座談会「天然素材シアター観客席」
(卯月四郎・高柳紫呉・プイ・まちこ・真悠信彦・sayuk)
・『天素』全話レビュー&PickUp!(sayuk)
・文庫2巻10ページ5コマ目のこと。(sayuk)
天素的京都観光のススメ(高柳紫呉/紫呉屋総本舗)
・わたしはわたしの輪郭に宿る(sayuk)
・理々子ロジック・リリコりりっく(sayuk)
・非恋愛体質でいこう。(高柳紫呉)
・世界は女の子3人で廻っている(sayuk)

★その他
津田雅美コマ割り研究序説(高柳紫呉)
・「家族」という名の惑星――萩尾望都スター・レッド』試論(峰尾俊彦/最果て系×××れたセカイ)
・きのうみた夢、その他の夢 相模なつき『ひとりにしないで』まとめ(sayuk)
・「幸福」をめぐる諸問題/『愛すべき娘たち』に対する意図的な「誤読」の可能性(高柳紫呉)

A5オンデマンド60ページ、表紙フルカラー、300円の予定です。
さらに詳しくはhttp://d.hatena.ne.jp/sayuk/20090430 に。

今回の会場は秋葉原でなく蒲田のようです。(詳しくはhttp://bunfree.net から)


<ちょこっと原稿解説>
 天素原稿は以前に当ブログで書いた内容の大幅加筆修正版です。思いつき+リサーチ。いわゆるひとつのID野球っすよ(笑)←いまだにIDって何の略なのかよく解りませんが

 「天素的京都観光のススメ」:京都在住の人間としては、「オレがやらずにダレがやる!」って感じで(勝手に)強い思い入れを持って書いた原稿です。位置関係地図も作りました。実は座談会の中でもこのネタを熱弁(ホワイトボードに地図を描いて!)したんですが、原稿でやるということでカットされてます(同じ話を何度もされても困るしw)。

 「非恋愛体質でいこう。」:考古学的手法の一例としても読める一本(になっているはず)です。或いは90年代のLaLa系作家のカテゴライズ論を構築するための序論の序論みたいな位置づけです(自分の中では)。恋愛には向かない人々というのは確実に存在する訳だけれども、少女マンガにおいてあえてそういう存在にフォーカスしていくというのはどういうことなのか、という問題意識が根底にあります。(勿論「向いてない」だけで「出来ない」訳ではないのだろうけど、表面的にはうまく繕えたとしても当人にとってはどこか違和感が残り続けるという極めて私的な体験も或いは関係するのかも知れないが…)

 個別原稿も前々から持っていたネタの流用です。

 「津田雅美研究序説」:一昨年の夏くらいに考えてたことのとりあえずの決着という形になります。これもID野球です(笑)。いずみのさんに捧げる1本です。「めくる冒険」の下巻と同じイベントで出るというのが心憎いめぐり合わせです(→単純に嬉しい)。あと、今回の原稿では「ベクトルの合成」に関する議論は入れませんでした。「対称性」を考える時に逆向きのベクトルが相殺されてゼロになることで同時性が担保されて云々みたいなアイデアもあった(勿論これはいずみのさんのベクトル議論を敷衍したもの)ですが、自分の中でいまいち理論化できなかったのでカットしました。コマごとのベクトルを大きさと形で以って定位できれば合成した時のゼロが影響する範囲(「対称性」の磁場)を確定したりできるのかな?とか思ってますが…(「めくる冒険」の下巻が時間の話をするということだったので、それを受けてもう少しクリアになるのではないでしょうか)

 「よしながふみ」:ある意味直球、というsayukさんの評が云い得て妙だと思います。直球だけどかなりクセ球です(笑)。実は書きはじめた時はまさかそんな方向に着地するとは思ってもみなかったのですが、今までのよしなが評に対する私自身の漠然とした違和感が一応形になったのかな、という感じです。


 今回はいつもにましてウダウダ書いてます(トータルで2万字くらい書いたんじゃなかろうか?)が、よろしくお願いします。私以外の原稿は少なくとも確実に面白い(もちろん自分の書いたものも面白いはずだとは思ってますが)ので、皆さんぜひ、少女漫画を語る本「Girls' Comic At Our Best! vol.04」を手にとってみてください。