「eensy-weensy モンスター」1巻のコマ割りだけを考える。

 代わりに、昨日シリーズは最後と云いましたが、単行本も出たことなので、「eensy-weensy モンスター」1巻(step1〜6)を例のごとく解析してみます。(いい加減しつこいですが)

 まず、ページまたぎ。step1から順に3、1、2、4、0、3回となります。

 そして、step2はかなり話が動いて、全体のコマ数も多いような気がします(数えると81コマ、若干多い)。step5はサブタイトルのカッコ書きで、右がなのはで左が葉月、と書かれるとおり、左右のコマ、ページが同一のコマ割りで(時には上下のコマを対応させる形で)それぞれの視点に立って描かれるという対称性を持ったコマ割りがなされます。実はstep4も対称性のコマ割りが結構多いんですけど、ページまたぎも多い。なぜだろう?

 考えうる1つの仮説は、step4において本格的に多用される対称性コマ割りをstep5においてより意識的に用いる(或いは読者に強く意識させるための)実験を行ったというものです。「ページまたぎ+対象性コマ割り」と「対称性コマ割り」の比較対照実験ということです。step4での「またぎ」と「対象性」の同時並行的多用が意識的なものかどうかは、よくわかりません。しかし、少なくともstep5は「対称性」のみで攻めるということをトビラ(サブタイ)の時点で宣言し、ほぼ前編にわたって「対称性」が維持されていることから考えて、非常に意識的なものであることは、間違いないでしょう。

 今回の連載は(単純にコマ割りという技術的な側面から云うならば)、後期カレカノ(特に17巻有馬父が出てくるあたり)から徐々に顕著になる、ページまたぎ(と対称性コマ割り)という、非常に特徴的なコマ割りをより洗練させる(先鋭化させる)試みとして捉えることが可能だと思われます。