ものすごく久しぶりの更新です

 まず少し言い訳をさせてもらうことにしますと、7月下旬〜8月は非常に忙しかった訳です。テストとか勉強会とか研究発表とか…。高3の8月より勉強してたと思います。そんな熱い夏休みを経て、復帰一発目は映画の話です。(またかよ!)


 1日は映画が安い日ですから、例のごとく(先月は確か西の魔女がどうしたとか…)映画を観てきました。実は2回目なんですが、「崖の上のリサ」(笑)

 スカイなんとかも7月に観ているので云う権利があると思いますが、夏のおかっぱ頂上決戦は文句なしにリサさんの勝利です。(勿論映画としての面白さも)

 私はモダニストですから、なんだかんだ云いつつもやっぱり近代的な価値規範に縛られていて、家族とかそういったものに本当に弱い。これは原恵一の時も思ったのですが、クレしんにしても河童にしても、ある種理想化された家族の物語に対して、条件反射的に感動させられてしまう訳です。

 スカイなんとかとの比較で云えば、おかっぱ少女の系譜がついに「母」に至るという点で両者は一致を見るものの、その形態は非常に対照的です。どちらがいいとか悪いとかそういう話にはしたくないけれど、少なくとも映画を見る限りでは、「ポニョ」の方が魅力的です。(尤もこの点に関しては全てを押井に還元することはできないが)

 「ポニョ」は近代的な意味でのリアリズムを放棄してしまったようにも見える(本編は勿論、エンドロールにおいても明確に「語り」への拒否が認められる)作品でありながら、最終的には「近代」に帰着してしまうようなところがあります。端的には宮崎駿という天才の一人のモダニストとしての資質がそうさせているのでしょうが、理論や理屈ではないところの、いわば「近代」の情念とも云うべきものが感じられます。

 「妄想」を第一級のエンタテインメントに昇華してしまう圧倒的力量を前にして、我々はいかなる批判力を持ちうるのだろうか。それは一つの神話として、一つのイデオロギーであることは十分に理解はできるものの、だからといって映画としての面白さはいささかも揺らぎはしないのではないだろうか。

 とりあえず今は、大いなる遺言を前にしてその財産目録に目を通すのが精一杯であろうと思われます。