ヒットを判定する方法

 ある作品がヒットしたか、そうでないかを判定する方法って実はよくわかんなくて、みんな結構いい加減に自分の感覚や自分周辺の情報で判断しちゃうところがあるのではないかと思うんですよ。何でそうかというと、まさに自分が普段感覚的にそういう不用意な発言をしているからなんですけど、今日はその辺のことを考えてみたいと思います。

 例えばあるテレビアニメの場合、まず視聴率というのがあるけど、これは録画で見る人も多いから意外とアテにならない。じゃあDVDのセールスってことになるけど、これもしっくりこない。勿論ひとつの指標にはなるかも知れないけど、決定的とまでは云えないんじゃなかろうか。メディアへの露出とか同人状況とか関連グッズとかそういった2次的な受容というのも無視できないけれど、どれも単体では判定基準として機能するとは思えない。作品の受容環境というのが複雑化していて、特定の受容層と受容形態というのがどれだけ一致していてどれだけ乖離があるのかというのもよく判らない。そういう状況の中で、いくつかの指標を複合的に処理するといっても、どう組み合わせればいいのかも見当がつかない。

 もっと感覚的な問題としては、社会現象を巻き起こすヒットとかいう文句があるけど、ああいうのはすごく胡散臭い。例えば10年前のエヴァだって私自身には身に覚えがないです、全くもって(去年のハルヒだって局所的なブームでしょ、今のお母さんはハルヒを知らないけど昔のお母さんはラムちゃんと知ってたと思うんだよ)。ネットでも従来のメディアでも、実社会の「ふつう」の感覚とはどうしても乖離があって、ヒットというのは「作られている」という印象が強い訳です。

 さらに云えば近年のヒット作と呼ばれるものに関して、私自身がついていけないというのもありますよね、実際問題としては。なにがいいのかサッパリ理解できないものもある。単純に好みの問題といってしまえばそうなのかもしれませんが。

 私自身何かを見るときには先入観とかで結構バイアスがかかっていて、そのバイアスの分を押し返して余りある内容じゃないと「ふ〜ん」と流してしまうんでしょうね、恐らく。こういうのを取っ払った時の素直な気持ちをシミュレートしてみると理解できるのかも知れません。或いは別のバイアスを仮想的に付加するというのもありかも知れません。


 ともあれ、人々の受容形態・様式の違いとそれぞれの受容層の実態、及び他の社会集団への影響力等々早急に考慮すべきポイントはいくつかありそうですね。